リリスを知ると月(インナーチャイルド)が「どの様に癒され」「どう成熟していくのか」解決の糸口が見つかる。
この記事では、「リリスとは何か?」西洋占星術や伝承で語られるリリスの機能面や人格面にフォーカスして綴っていきます。
西洋占星術からのリリス
まずは、リリスについて、概念・テーマ・解釈のトーンを。
- リリスという概念:リリスには3種類あり、わたしが扱うリリス(Black Moon Lilith)は「月の軌道上の黒点」を指す概念的なもの。
感受点と呼ばれ、太陽や月のような天体とは違い、物理的な天体は存在しません。心理的・象徴的なポイントとして使われます。
- リリスのテーマ:抑圧された欲望、影の側面、反抗・自立、本能的なセクシュアリティ、境界線を越える力、タブーに対する態度などを表すとされています。 個人チャートでのリリスの位置は「無意識に強く反応する領域」や「意識化されにくい欲求の表現領域」を示します。
- 解釈のトーン:抑圧・反抗といったテーマを扱うリリスですが、必ずしもネガティブではありません。抑圧された力を創造的・解放的に使える場所でもあります。
言うなれば転換点であり、わたしたちが魂レベルで一致して生きていくための「スイッチ」になりうるもの。たとえば、リリスが個人の創作活動、性愛観、社会規範への反発と結びついて表れることがあります。
神話からのリリス
西洋占星術で扱う星座や天体には神話がつきもの。神話が象徴するキャラクターの性格や生き方が解釈に影響しています。
それはリリスも同じ。
リリスの神話
リリスは、ユダヤ神話や古代メソポタミアの伝承に登場する“はじまりの女性”です。アダムの最初の妻として語られることもあるし、夜の精霊として描かれることもあります。
リリスの神話で一番の象徴は、
「従わない女」「自分の欲望を否定しない女」
どの神話でも「リリス」の物語の核となる部分です。
ここからはリリスの描かれ方を少しまとめてみます。
アダムの“最初の妻”リリス(ユダヤ神話系)
リリスといえば、もっとも有名なのはこの神話。
神様は、イヴを誕生させるずっと前、アダムを誕生させた頃、最初の妻を想像しました。アダムと同じ土から同じ時に創られた女性こそリリスでした。
アダムとリリスは対等な存在だったのです。けれどアダムは「上に立ちたい」と望み、リリスは「なぜあなたが上で私が下なの?同じ土から創られた対等な存在なのに。」と拒否。
結果、リリスはアダムに従うことを拒み、エデンを出ていきました。
神はエデンを去ったリリス代わりに、新たに妻として“従順な女性”イヴを創ったのでした。
ここで描かれるリリスの象徴は
「相手に自分を合わせない」「魂の対等性を崩さない」
つまり“女神的なプライド”と“根源的な自由”があります。
夜の魔女・誘惑・影の女神としてのリリス(伝承系)
リリスは、神話から派生し、各地の伝承や民間信仰で“魔的・誘惑の象徴”としても語られています。
ユダヤ神話のその後のエピソード
エデンを去ったリリス。
新たな妻イブを迎えたアダム。
しかし、アダムのリリスへの想いは冷めることはなく、リリスとアダムの関係は切れたようで切れていない。
その後もことあるごとに再開し、心惹かれ合う関係は続きます。
エデンを追われたリリスはサタン(悪魔)の妻となり、
のちに蛇の姿でエデンに現れ、無垢なイヴに知恵の実を食べるよう唆します。
神の約束を破り、知恵の実を口にしたイヴとアダムはエデンの園からついほうされてしまうのでした。ーーーー
こういった神話からか、のちの伝承では、リリスは「魔性の女」「愛人」など、どうしようもないほど魅力を持つ女性としても描かれます。
・リリスは夜に現れる美しい女性
・官能・欲望・本能をあらわにし、欲望を満たそうとする女性。
・破壊と創造の両面を持ち、時に激しく感情的であり、知性的な女性。
・抑圧された女性性の集合意識。
昔の社会では男性が中心であり、学問や仕事は男性のためにありました。賢い女性は嫌悪された時代、女性は愚かで守られる存在でいて欲しかったのでしょう。「従わない女性」「自由な女性」は“恐れの対象”とされていました。
その象徴であるリリスは影側に追いやられそうした類の伝承が生まれたとされています。
その影がのちの「魔性」「誘惑」「夜」というモチーフに投影されたわけですね。
けれどリリスのこうした背景や素質は現代の私たちにとっては、
“自分らしさ・本能・魅力・意志”を取り戻す力
を秘めた魔女のように写りませんか?
現代占星術におけるリリス(Black Moon Lilith)
リリスは冒頭で紹介した通り、天文学的には「月の遠地点」。
ですが、象徴するのは、心理の深層。
・心の奥で押し込めた欲
・“本当はこうしたい”の根源
・自分でも気づけない魅力
・無意識の魔性性
・“対等でありたい”魂の衝動
いわば自分が一番“隠したつもり”で、“実は一番力を持っている場所”。
ここが目醒めると、その人独自の美、才能、色気、創造力が爆発していくかなめの部分。
リリスは“影の女神”ではなく“影から戻る女神”
最後に、ここからは、わたしなりの解釈になります。
現代を生きる女性にとって、「リリス」はただの悪役ではないし、魔女でも終わらない存在だと思っています。
いちばんリアルな本質に目醒めた女性の姿を、リリスが反映しています。
リリスは“影に堕ちた女神”であり、
“影から力を取り戻しに行く女神”でもある。
現代を生きるすべての女性に眠るリリスの本質につながっていると思うんです。
わたしたちは、誰しも扱いきれない「影」に翻弄されている。
それは感情というエネルギーを介して顕れる。
でも、その感情の爆発的なエネルギーこそ、女性のもつ最強の底力。
その扱い方さえ押さえれば、影は怖いものではなく、光として扱うことができます。
例えば、
影:嫉妬
光:底知れぬ深い愛情
自分の中にもつ影を知り、光として扱えるようになった時、わたしたちは女神としてパワフルに生きることができる。
これを「女神性の統合」と呼んでいます。
あなたのリリスが女神性として扱えるようになった時。
ほんとうのあなたの人生が始まる。
「女神性の目醒め」というコンセプトをリリスに感じています。
リリス神話のまとめ(わたしの解釈Ver.)
ここまで、さまざまなリリスを紹介してきました。
機能面:西洋占星術の感受点として、
人格面:神話や伝承、現代占星術、わたしなりの解釈
まとめると、いつの時代もリリスは扱いきれないが故に恐れられているだけ。その本質はとてもパワフル。
アダムもきっとリリスが持つ知性と感情の底力に気がついていたのでしょう。パワフルであるが故に、管理しよう、従えよう、抑え込もうとしてきた。
わたしたちも、自分の弱さ、感情的な強いエネルギーを扱いきれず、底がしれない、扱いきれないと感じるからこそ、嫌悪し、見ないふりをしてしまう。
わからないから、怖い。
リリスとは
“最初の女神”であり、
“従わない女”であり、
“影を歩き直す女”であり、
“自分の欲望と力を取り戻す女”。
リリスは、影を抱えたまま光を放つ存在。
“魔性性”と“女神性”の二面性もち、統合する象徴。
扱いきれない自分こそ、マグマのようなエネルギーの眠るあなたの核の部分かもしれません。
今もっともわたしが熱を上げているテーマ「リリス」について紹介しました。
あなたの中の魔性性と女神性についても知りたくなりました?
リリスについての探求はまだまだ始まったばかり。
今後も記事を書いていこうと思います。