わたしが体験した柔らかいしこり・粉瘤のお客様への対応を紹介していきます。
この記事では、実際に粉瘤をお持ちのお客様にどう対応しているのか、わたしなりの見解と対応をまとめてみました。
具体例と施術対応について書いていきます。これが正解というわけではないと思いますが、同じように悩んでいるセラピストの参考になればうれしいです。
上記の記事を読んだ上で読み進めていただくと、より理解が深まると思います。
柔らかいしこり?粉瘤(ふんりゅう)に遭遇したら
粉瘤とは、一般に表皮嚢腫(ひょうひのうしゅ)のことを指す。表皮嚢腫は良性の腫瘍である。ということについては以前のまとめ記事で紹介してきました。
この記事でも粉瘤=表皮嚢腫として解説していきます。
わたしの過ごしてきた職場や個人でサロン運営をしている方々の集まりなど、「こんな時どうしてる?」を聞いても、なかなか具体的な対応を聞ける機会ってなくて。そばにも解決できる人がいなかったので、自分なりにどうしていくのが良いのか日々試行錯誤の連続です。
ここで紹介することが正解というわけではないと思いますが、わたしがセラピスト歴22年の中で、実際に経験し、調べたり、対応した中で培ってきたものをまとめてみました。
その症状はどんなものなのか、仕組みを知り、施術を行うリスクを踏まえた上で、お客様にもセラピストにも安全な施術を行いたいですよね。
それでは体験談を紹介していきます。
具体例①⌇肩甲骨周りに柔らかいしこり
背中の肩甲骨付近に粉瘤がある場合。
お客様の主訴が肩こりで、肩甲骨周りの筋肉をよくほぐして欲しいとご要望があったとします。
- 出血や炎症、痛みも現時点ではない。
- エフルラージュでオイル塗布では触れても問題はなさそう。
- 母指圧を含む強めの圧は避けた方がよさそう。
という場合でも、施術によるリスクを思い出して欲しいのです。
わたしの場合ではありますが、以下のようなことをカウンセリング時にお伝えしています。
お客様には「ご存知とは思いますが」と前置きし、「粉瘤は袋状の組織に刺激を与えることは好ましくない」こと、その上で「気をつけてお手入れします」が、「実際に見て、触れて、判断するので、もしかしたら、その範囲の施術をお断りしたり施術範囲を調整させていただく場合がございます。」ということをお伝えしています。
具体例②⌇コブのような膨らみがあり、お客様に痛みや炎症はないケース
ほとんどがこのケース。女性よりも男性で遭遇することが多いです。
脊柱沿いの腰周りや肩甲骨周り。それから頭皮にあることも。
特に男性の場合は、カウンセリング時に教えてくれないね・笑
本人も気にしていなかったり、気づいていなかったり、忘れていることがほとんど。実際にオイル塗布しようとタオルや毛布をめくって気がつくことも多いです。
こういう場合は、「しこりがありますね」なんて言いません。
オイル塗布でそれとなーく近くを通りながら、「お痛みございませんか?」とお尋ねします。問題なければ、エフルラージュしながら「もし違和感やお痛みあるようならお申し付けください。」とお声がけしておきます。
具体例③⌇粉瘤の角栓が取れて内包物が漏れ出すケース
粉瘤で時々起こるのは、毛穴から内包物が出てきて、施術中に何度もコットンで拭き取りをするケースです。
粉瘤について無知だった頃は、背中ニキビだと思っていました。
オイル施術でふやけた黒ニキビの角栓が取れて、中の白ニキビが出てきたのかな?くらいに考えていました。それにしても毛包何個分!?広い範囲の膨らみで、内包物も、すごい量出てくるのです。
お客様に、「ニキビでしょうか?直接触るのは避けていましたが、近くを通るたびに施術の圧で刺激されるようで、中身が出てきてしまいました。コットンでお拭き取りさせていただきますね。」とお伝えし、沁みたり痛みがないか確認して拭き取り、施術を続けました。
今思うとあれは粉瘤だったと思います。
お客様には粉瘤の自覚もなく。内包物が出てる実感もない。何がどのくらい出てきているのか見えていないため、「施術時間いっぱいマッサージを受けたい」という思いからか、「気にしないでもらって大丈夫です」と言われたのですが、老廃物ですからね。
無視してオイルと共に背中中に引き伸ばすのは不衛生です。
施術者の手に万が一小さな傷でもあったら?お客様の老廃物が触れることは好ましくありません。
お客様には、「毛穴に詰まっていた内包物が出ているので、皮脂や角質といった老廃物に菌が繁殖している可能性があります。お背中に広げてしまう施術はできませんので、お拭き取りさせていただくことについてはご容赦ください。」ご説明しつつ対応しました。
具体例④⌇粉瘤の手術痕(赤味を伴う)ケース
手術したということは、お客様自身にも認識があり、カウンセリング時にお話ししてくださるケースがほとんどです。切開手術となるため、術後1年経っていても赤味を伴っている方もいます。
大抵の場合は、手術後に傷口の刺激をしないよう医師からも説明を受けているので、お客様ご自身も「施術の際に刺激の強い圧はかけないでほしい」と認識してくださっている方が多い印象です。
どうしてもその箇所を触れないとアプローチが難しい場合や、近くを触れる際にはお声がけし、お痛みや不快感がないか確認しながら施術を進めていきます。
セラピストの心構え
施術にはいる際に心に留めておいてほしいこと。
それは、“最終的に判断するのは、今回の担当セラピストである、あなた自身。”だということ。
「お客様の大切なお身体を預かり、より良い状態でお帰りいただく」ために施術をするという大前提を持って施術をするのであれば、お客様の言い分や要望は、あなたのセラピストとしての判断より上に出ることはありません。
かといって、お客様のお気持ちを無碍にしていいわけでもありません。
治療師と、セラピスト・エステティシャンの違いは、ここにあると思っています。
治療を行う場合は、お客様の気持ちよりも怪我や不調の回復が優先されることがあります。言葉遣いが荒かったり、説明不足だったり。でも、治っちゃうし、一時的に通う場所だから腕が良ければまた通う。
でも、セラピストやエステティシャンが扱うのはお身体だけではなく、“お客様の気持ち”ではないですか?
キレイになること、身体が楽になることはもちろん。疲れた心や不安な気持ちに寄り添い、言葉をかけ、一緒に未来を描く時間。お客様が帰るころには、心まで満たされている。そんな施術を行うことを目指している方が多いのではないでしょうか。
身体の回復と心の満たし、両者のバランスを上手に取りながら、施術者もお客様もお互いにとって良い形に落とし込むのは、カウンセリングの役割でもあります。
お客様から、「赤くなっているところを触らなければそれ以外は平気」と言われることもあるかもしれません。
でも、実際にはそんなことはありません。身体は繋がっています。
お客様には、血管やリンパ管は網目状に張り巡らされているので、直接その場所を刺激しなかった場合でも、粉瘤の袋が圧迫刺激でダメージを受ける可能性や体内で血流が良くなることでの影響があるかもしれない。
ということはお伝えしておく必要があるかもしれません。
その上で、「なるべくお悩みを解消できるように配慮して施術を行いますので、オイルを馴染ませる段階などでお痛みや圧について確認させてください。」というように、あなたの想いや心配りがお客様にわかるように言葉でお伝えしておきましょう。
わたしが施術者として大事にしていること
わたしはお客様の体のことにもっと詳しくなりたいと常に願っています。
あなたもこの記事をここまで読んでくださったのですから、きっと同じ志をお持ちなのではないでしょうか。
わたしは、専門知識を学び、時には医学書まで読んだりするのですが、お客様に専門用語で話すことはしません。お客様が知りたいであろうことには、イメージを持ってもらうために例え話を用いて伝えることはあります。
でも、お客様に説明するために知識をつけているのではありません。
万が一が起こらないように、わたし自身が安心して施術ができるように、お客様に安心感を持って施術させていただくために知識をつけています。
知っていれば防げるトラブルがたくさんあります。
わたしは、知らないことに直面したら、次に活かすために調べます。
その研究の一端をこうして記事にしたり、講座にするようになりました。いわば研究発表のようなもの。ノートに書いて、なるほどなって納得して、次の施術に活かしている。毎日それの繰り返しですが、とても孤独でした。
わたしと同じように孤独を感じて働いているセラピストやエステティシャンって多いんじゃないかなって思うんです。
- 職場に同じ志のセラピストがいない。
- 学びたいけど、自分より詳しい人や身体に興味のある人がいない。
- 講座やセミナー、ワークショップに通ってみるけど、ずっと繋がれるような関係の仲間にはなれなかった。
- 日々の施術に生活に忙しいから個別に連絡を取り続けるってハードルが高い
- サロンオーナー同士の集まりでは、集客や単価、Visionの話になりがちで、施術の話ができる人がいない。
わたし自身が今、孤独を感じているからこそ、あえて、こうした誰でも見れるブログにまとめてみたり、もっと学びたいと思う人に最適な形で残すことをしていこうと思っています。
未来の誰かへの手紙だと思って。
誰かがこの記事を読み、役立ててくれることで、今わたしの悩んでいること、直面したことから得られるものは、自分一人分の価値ではなくなる。
出逢ってくれた人の分、その人が施術に役立ててくれた回数分、どんどん増えて広がるんじゃないかと思っています。
これから、こうしたセラピスト向けのマニアックで一般ウケしないであろう記事や講座も少しずつ残していけたらと。